01|ケンの二本立てに、同じ会社が入っていた

  • ケン

    ユイ、見てくれ。二本目の投資信託を買うところだ。一つ目は世界株、二つ目は成長株。居酒屋のメニューなら、鶏の塩焼きと刺し身くらい違う。これで分散できたと思わないか?

  • ユイ

    二つの資料を並べたら、上位に同じ会社が載ってるよ。それに「世界株」のほうも、一つの地域の比率が大きい。お兄ちゃん、注文ボタンを押す前に、何を分けたかったか教えて。

  • ケン

    値下がりしたときに、二本がそろって下がるのは困る。積立を始めたからには長く続けたいけど、同じものを二回買った気分になるのも嫌だな。

  • センパイ

    目的を二つ挙げたな。同じ企業や地域への集中を見直す話と、下落時に資産が一緒に動くかを調べる話だ。最初の作業は保有残高と組入比率を並べて、実際に何をどれだけ持つか出すこと。二本目の購入を考える場合も、買った後の金額を置いて同じように試算できる。

  • ユイ

    このコラムのノートは「元の状態」「買い足したとき」「今回は見送ったとき」の三列にする。いきなりどの商品が一番か決めなくても、数字の違いを見られるね。

  • センパイ

    最初に二本を合わせた投資先の割合を出す。商品名を欄外に書いて、中身を表の主役にしよう。表の上には、いつの残高を使うかも残す。画面に出る評価額は動くから、来月の見直しでは同じルールで新しい日付の金額を入れる。

ケンとユイが居酒屋で帳面を見る場面

02|月報・目論見書・運用報告書の開き分け

  • ユイ

    検索結果から開いた商品紹介には、目立つ言葉と過去の成績が載ってる。比較表に転記する数字は、どこで探すの?

  • センパイ

    運用会社の商品のページを開く。月報などの運用資料に配分や上位組入銘柄が掲載されていれば、資料名と基準日を確認し、表に使う。どの市場を対象とするか、連動を目指す指標はあるか、投資先や為替の方針、費用はどう決めるかを確認したいときは、交付目論見書の該当箇所を探す。

  • ケン

    「全体版の運用報告書」も見つけた。先月の月報よりずっと古い基準日だ。古い数字なら役に立たないか?

  • センパイ

    運用報告書には決算時点の運用の経過や組入状況を確認できる資料がある。作成の周期と、扱う情報が月報と違う。上位だけで足りなければ全体版も確認し、比較に使うときは対象時点に注意する。月報からは月末時点の概要、全体版からはその決算期の詳しい内容、と使い分けると整理しやすい。

  • ユイ

    証券会社の残高画面で自分の評価額を確認。月報で中身の比率を確認。目論見書で何をする商品か確認。それぞれ別の問いだね。手元のメモにも「私の評価額の日付」と「中身の基準日」を別々に書いた。

  • ケン

    似た名前の「為替ヘッジあり」も出てきたぞ。購入履歴の名前を最後まで写してから、運用会社の該当ページを探す。

  • センパイ

    商品名、資料の基準日、比率の分母をそろえる。資料が異なる分母を使う場合は比較条件を記録し、全体に対する割合だとみなせるかを確かめる。

資料を読む順番
  1. 評価額の画面
  2. 同じ時点の月報
  3. 目論見書と運用報告書
  4. 範囲を明記した比較表

評価額と運用資料は基準日を個別に記録する。

03|上位組入銘柄と自分で持つ株を照らし合わせる

  • ユイ

    二本の月報を開いたよ。先頭の「上位組入銘柄」に同じ会社がある。まずは投信の中にある分を合計して、その会社の株を別に持っていた場合の数字まで出そう。

  • センパイ

    仮にAを8万円、Bを2万円持っていて、会社Xの組入比率がAで10%、Bで20%としよう。Xに対応する額は8万円の10%で8,000円、2万円の20%で4,000円。合計1万2,000円で、全体10万円の12%だよ。

  • ケン

    AとB、どっちにもXが一番上だ。お店の棚卸しみたいに、まずは仕入れ先ごとの金額に置き換えるんだな。

  • ユイ

    二つの資料の10%と20%を足して30%と書きそうだった。全体に占める比率を出すには、自分がいくらずつ持つかを一緒に見る。店の仕入れの例で覚えておくね。

  • センパイ

    資料で見えるのが上位10銘柄までなら、それより下に同じ企業があるかは、この表だけでは確認できない。基準日や、株式部分だけを分母にした表示かどうかも見る。Aの今月の数字とBの半年も前の数字では、同じ時点の比較にはならない場合がある。

  • ユイ

    確かめられたものだけを重ねて、ほかは未確認と書くね。企業名が違っても親会社や同じ企業グループに関係することがあるし、国や業種が同じなら似た影響も出る。上位銘柄は調べ始める場所なんだね。

  • センパイ

    商品の紹介ページで別の分類に見えても、参照する指数や方針が似ていれば、投資先が重なることがあるよ。逆に少しの重なりがあるだけで全体が同じだとも言えない。組入比率、配分、対象とする市場を合わせて見よう。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。商品Aを5万円、Bを3万円、個別の会社Xの株を2万円保有するとした例です。Xの組入比率はAが8%、Bが6%。Xに対応する額は4,000円+1,800円+2万円で2万5,800円、全体の25.8%です。投資信託の中と、単独で持つ株の両方を足すと、同じ会社への偏りが見つかります。

  • ケン

    商品Aが自分の全体の40%で、Aの企業X比率が5%なら、全体に占めるA経由のX比率は?

  • センパイ

    40%×5%で2%です。他の商品や個別保有を通じてXを持つ場合は、その分を別に足します。

  • ケン

    じゃあ次は俺の保有表に戻る。投信の名前を写して終わりにせず、月報から同じ会社を探して線を引く。

04|二本の金額で重みを付けて計算する

  • ケン

    評価額はAが6万円、Bが4万円。配分表でAの地域Xは80%、Bの地域Xは50%。平均は65%だと思ったけど、Aのほうがたくさん入っているから少し違うか。

  • ユイ

    Aの6万円に80%を掛けると4万8,000円。Bの4万円に50%を掛けると2万円。二本を合わせて10万円のうち6万8,000円だから、地域Xは68%。先に円に直せば、どれを足したか後で追えるよ。

  • センパイ

    この例の地域比率はどちらも同じ基準日で、各ファンド全体に占める割合として扱う。自分の持つ評価額で重みを付けるのが計算の肝だ。二本を一万円ずつ持つ例なら、65%で合う。

  • ケン

    上位表のP社も計算してみよう。Aで20%、Bで10%。A経由で1万2,000円、B経由で4,000円。合計で1万6,000円、二本の中の16%か。商品紹介からは、こんなにP社を持つことになるとは思わなかった。

  • ユイ

    地域Xの68%とP社の16%を足して84%と書きかけたよ。P社がXに分類されると、すでに68%の内側にいる。地域の行と企業の行は、それぞれ別の視点の表に分けるね。

  • センパイ

    割合を足す前に、同じ分類の行か確認する。例えば国内・海外と株式・債券でも、国内株式が両方に数えられる。資産別、地域別、企業別に表を分けておくと、重複に気づきやすい。

  • ケン

    Aの80%だけを見た日と、買った後の68%を比べられるな。次は増えた分の地域や企業も見る。Xが下がったから他の偏りも自動で消えたと思い込むところだった。

評価額で重みを付けた地域・銘柄の比較
比較する項目Aの6万円からBの4万円から合計10万円に占める割合
地域X4万8,000円2万円68%
P社1万2,000円4,000円16%

二本を合わせた計算例。地域と銘柄は分類が異なるため、68%と16%は合計しない。

ユイがグラフを見て驚き、センパイが隣で見守る場面

05|上位一覧に出ない銘柄はどう扱う?

  • ユイ

    Bの上位一覧にQ社が出ていない。AにはQ社が入っているけど、比較表のBの欄はゼロと入力していい?

  • センパイ

    上位何銘柄までの資料か確認しよう。表の外に持っている可能性があるから、掲載なしと保有ゼロは別の欄にする。全組入の情報が確認できないなら、B分を未確認と記録する。

  • ケン

    AのQ社が4%だと、A経由の分は6万円×4%で2,400円。10万円の比較表では、確認できたのが2.4%。B経由の分が分かったら、その割合を足せるな。

  • ユイ

    「少なくとも2.4%」と書くなら、この表と同じ基準日、同じ分母で、Aの4%を前提にした確認範囲の話だと添える。来週の残高や、最終的な投資先すべてを保証する数字として使わない。

  • センパイ

    運用会社の全体版の報告書や、投資先のファンドの資料で明細が分かる場合もある。上位一覧に「マザーファンド」や別ファンドしか並ばないときは、どの資料から投資先の内訳をたどれるか探す。載っている数字が投資先ファンド内での割合なら、そのまま自分の投信の割合に写せるかは別途点検する。

  • ケン

    二本目の全部を追えないなら「主な銘柄に重なりがある」「Q社の全体比率はまだ不明」と、一行に二つ書くよ。確認済みの事実は残したい。

  • センパイ

    資料から読める範囲を明記する。次の行動を決めたいときも、足りない項目が見えれば資料の追加確認と比較のやり直しをしやすい。

06|世界株の「世界」を地域配分で読む

  • ケン

    月報を見てやっと分かった。世界株という名前を見た時は、世界地図が均等に塗られた商品だと思ってた。例えば米国の比率が高いとき、所在地だけでどんなリスクか分かるのか?

  • ユイ

    私は最初に国の配分表を開くよ。日本と海外の欄だけでは広すぎて、海外の中で一番大きいところが見えないね。

  • センパイ

    地域名と配分は別の情報だ。たとえば「世界」とある商品でも、時価総額に応じて重みを決める方式なら、市場の規模によって特定の国の比重が大きい場合がある。月次資料で対象の地域、比率、基準日を見て、合計を同じ物差しで比べよう。

  • ユイ

    なるほど。二つの国の株式を持っていても、片方が90%で、もう片方が10%なら、同じ扱いにはできないね。国名が並んでいる一覧を見ただけでは、配分の偏りが見えないんだ。

  • センパイ

    もう一つ、企業が上場する国と売上を得る国は一致しない場合がある。海外売上の多い日本企業は、海外の景気や為替の影響を受けることもあるよ。国内株、外国株という分類は便利だけれど、収益が生まれる場所まで教えてくれるわけではない。

  • ユイ

    場所を分けても、世界同時の景気悪化や、共通の金利の動きみたいなものが残るね。海外商品を円で買えるときには、使う通貨と中身の通貨も分けて考える必要がありそう。

  • センパイ

    いい見方だよ。円建てで取引する商品でも、外国の資産を持っていれば為替の影響を受ける場合がある。為替ヘッジの方針や対象は商品ごとに異なる。地域、企業の実態、資産の通貨という三つを別の列に書くと、どこが未確認かわかる。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。商品Aを60%、商品Bを40%持つ練習です。Aの地域X比率は70%、Bは20%。全体の地域X比率は60%×70%+40%×20%で50%です。AとBの地域X比率の単純平均は45%ですが、自分の持ち方を反映した数字は50%になります。地域別の比率は、定義と基準日をそろえた例です。

  • ケン

    円で注文できる海外資産の投資信託なら、為替の影響を確認する必要はある?

  • センパイ

    あります。購入に使う円と、投資先の資産がどの通貨の影響を受けるかを分け、目論見書などで為替リスクや方針を確認します。

07|地域・為替・比較日の三つのずれを残す

  • ユイ

    Aの地域欄は株式だけの割合で、Bは現金を含めた全体と書いてある。しかもAは10月末、Bは9月末。さっきの計算では同条件にしたけど、現物でこれがそろわないときは?

  • センパイ

    同月の資料と分母の説明を優先して探す。例えばA全体の株式比率が90%で、株式のうち地域Xが80%という同一時点・同一分類の数字なら、A全体に対する地域Xの株式部分は72%と計算できる。Aの現金も地域Xとみなす計算ではないから、列名も「地域Xの株式部分」と書く。

  • ケン

    そろった数字が見当たらなければ、無理に足さずに別の日の数字として並べる。AとBの基準日をメモすれば、数か月後にどちらが古いのか見えるね。

  • ユイ

    同じ海外株を持つとして、Aは為替ヘッジあり、Bはなしだった。地域の割合が同じでも、円で見たときの値動きは変わりそう。どの欄に置く?

  • センパイ

    為替ヘッジの方針の列を追加する。対象通貨や実際の方針、ヘッジの費用や限界は資料による。ヘッジを行う方針でも、為替の影響が常にゼロになるとは限らない。国・地域の分類、資産の通貨、円で見る評価額を分け、資料が示す範囲をそれぞれ記録する。

  • ユイ

    今週は「条件がそろう二本だけ計算」「そろわない表は保留」を見直しルールにした。基準日と分母を各列に残せば、数字だけが独り歩きしない。

分母が違うと同じ地域Xでも比率が変わる
  • Aの株式部分に占める地域X80%
  • A全体に占める地域Xの株式部分72%

A全体の株式比率90%、Aの株式部分の地域X比率80%の例。

為替の資料を確認する登場人物

08|重なりは銘柄名以外からも見つかる

  • ケン

    上位銘柄に同じ名前がなければ、リスクも離れていると思ってた。駅前で違う名前の三つのランチ店を選ぶみたいな感じか。

  • ユイ

    その三社、看板は違っても同じ駅前だよ。料理や常連は違うとしても、旅行客が増えると、どこも忙しくなるみたい。会社名が違うだけで十分に分けたことになるのかな?

  • センパイ

    その観察が大事だよ。会社名は違っても、客層や原材料、売上が増える季節、資金調達の条件が似ている場合がある。一つの会社だけで事故が起きる場合と、観光客が一斉に減る場合とを分けて考えると、影響が同時に出る理由を想像できる。

  • ユイ

    観光客が減るケースなら、駅前の三社が同じ方向に動くかもしれないね。別の会社を選んだだけでは、駅前の人通りという共通の弱点は残る。仕入れ価格が上がると全店舗が困る例もありそう。

  • センパイ

    業種をまたいでも共通点はあるよ。運送と外食は別の業種だけれど、燃料費や人件費が上がれば両方に影響が出ることがある。逆に、同じ業種でも顧客や契約条件が違えば、受ける影響に差が出る。分類表は入口にして、何が収益の変動要因かを調べよう。

  • ユイ

    業種名の列だけだと、違って見えるところと似ているところを区別できないのか。会社の売上先や費用の特徴がわかると、共通する条件を書けそう。どの会社も事情が全部わかるわけじゃないから、空欄も出るね。

  • センパイ

    資料からわからなかった部分は「不明」と書くのが立派な判断だよ。推測と資料で確認したことを分けよう。ニュースを読んだら、「どの会社に」「どの経路で」「どのくらい影響しうるか」を短く書くだけで、銘柄の数とは別の見方ができる。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。練習として、宿泊会社H、観光バス会社B、食品包装会社Pを用意します。HとBは観光客の増減が売上に影響し、BとPは燃料費や原材料費が費用に影響する、とした例です。観光客減少と燃料高の二つのカードを作り、それぞれから関係する会社へ線を引きます。共通要因が重なる会社がどれか、線の本数で確認できます。

  • ケン

    観光関連の三社を持つ場合、ある会社だけに起こる不祥事と観光需要の急減では、どちらが三社に波及しやすい?

  • センパイ

    観光需要の急減のほうが共通の売上要因を通じて波及しやすいと考えられます。三社の実際の影響は、資料や状況に照らして確認します。

09|同じ日に下がると、二本でも値下がりする

  • ケン

    二社の重なりがない練習もしたい。二社へ5,000円ずつなら、片方が転んだときもう片方が踏ん張ると思っていた。

  • ユイ

    同じ金額を一社と二社に入れて比べたいな。紙に数字を書いて、どちらも合計が同じところから始めれば、投資先を分けた効果を見やすくできそう。

  • センパイ

    まず1万円を全部A社に置く。A社の価格が20%下がったら、1万円の20%で2,000円減って、8,000円になる。次に、A社とB社に5,000円ずつ置く。A社だけが同じ20%下がってB社は横ばいなら、A社の損は1,000円に縮まり、合計は9,000円だ。

  • ユイ

    A社に置いた額が半分だから、A社が下がった影響も半分になるんだね。同じ会社の値下がり率でも、私のお金全体で見た損失率は違うんだ。B社が上がることまで期待しなくても、この違いは出るのか。

  • センパイ

    その理解でいいよ。ここで比べたのはA社だけに問題が起きた場合だ。両社がともに20%下がれば、5,000円ずつの両方から1,000円ずつ減り、合計は8,000円。B社がさらに大きく下がった例を考えると、分けた側の損失が大きい場面もある。

  • ユイ

    じゃあ二社にしたから安心、という判断はできないんだ。B社に何を置くかで結果が変わる。分けた数だけで判断していると、肝心な「どんなときに両方下がるか」を見落としそう。

  • センパイ

    次は、割合を言えるようにしよう。全体の半分をA社に置くと、A社の20%安は全体を10%押し下げる。割合と下落率を掛けるだけなら、表計算でも電卓でもできるよ。数字を出せると、何を減らしたいのか相手に伝えやすい。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。合計2万円のうちA社が1万6,000円、B社が4,000円なら、配分は80%と20%です。A社が25%下落しB社が横ばいの場合、減少額は4,000円で、全体では20%下落します。二社に投資していても、多い側に影響が集まります。全体を基準にして割合を揃えると、別の配分とも比較できます。

  • ケン

    A社とB社に5,000円ずつ置き、両社が同じ日に20%下落した。全体でいくら減る?

  • センパイ

    どちらも1,000円ずつ減るので合計2,000円です。A社だけが下がる場合とは分けて考えます。

  • ユイ

    銘柄の集中を調べた表と、同時に下がったときの練習表を分けて保存するね。見たい問いが違うから、両方そろうと確認しやすい。

10|債券と預貯金を同じ役割にしない

  • ケン

    地域と銘柄を分ける表はできた。でも全部が株式なら、次に考えるのは資産の種類だよね。債券を入れれば株と逆に動くって聞いたぞ。

  • ユイ

    お兄ちゃんが考えたのは資産の種類を分ける方法だね。センパイ、株が下がると債券が必ず上がるの?

  • センパイ

    株式には企業の利益への見通しなどが関わる。債券には金利や発行体の信用力などが関わる。値動きの材料に違いがあるから、組み合わせを考える意味があるよ。一方で、物価や金利の急変で両方が下がる時期もある。相手が必ず逆向きに動くとは決めつけないでおこう。

  • ユイ

    債券と書いてあれば同じ動き、と考えるのも早いね。国が出すものと企業が出すもの、満期までの長さ、国内か海外かで条件が違うみたい。預貯金も、使う時期の近いお金を置くという役割があったよね。

  • センパイ

    その区別は役に立つよ。たとえば金利が上昇すると、すでに発行された固定利付債の価格は一般に下がる方向に動きやすい。発行体の信用力が下がる場合には別の影響もある。債券を持つ投資信託は、保有している債券などの評価が変わると基準価額も動くよ。

  • ユイ

    役割の列を作ってみたい。「企業の成長などに参加する」「一定の条件で利子を受け取る」「使う日まで金額を確保する」と書き出すと、株価のグラフだけを見ていたときより目的を比べやすいね。

  • センパイ

    同じ「価格変動を抑えたい」という目的でも、どの変動を抑えたいかで考え方が変わる。円で近く使うお金なのか、先のために保有するお金なのか。値動き、信用、換金、為替などを区別すると、商品の名前だけに頼らずにすむよ。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。株式6万円、債券3万円、円の現金1万円とした例です。株式が10%下がり、債券が2%上がり、現金が変わらなければ、全体の減少は6,000円から600円を引いた5,400円です。次に株式も債券も10%下落と置くと、減少額は9,000円です。二つの条件を書いて比較すると、期待していた支えが働かない場合も見えます。

  • ケン

    債券を組み込むと、株式が下がった日の全体の評価額は必ず上がる?

  • センパイ

    そのようには決まりません。各資産の値動きと保有額の両方が全体の評価額に反映されます。

11|チャートの条件をそろえて見る

  • ユイ

    二本のチャートを開いたよ。去年のグラフは形が似ているけど、片方は基準価額、片方は分配金再投資の線だった。どう比べればいい?

  • センパイ

    まず同じ期間の変化率を並べよう。Aは1月に+5%、2月に−3%、3月に+2%。Bが順に+4%、−2%、+1%なら、この三か月では向きが一致する。Cが−1%、+2%、+1%なら、Aと向きの違う月がある。少しの観察から始めるとわかりやすい。

  • ケン

    グラフの背が低い方が静かな商品かと思ったよ。値段の桁が違うだけかもしれないな。

  • ユイ

    月末の価格そのものを比べると、1,000円の商品と1万円の商品では線の高さが違いすぎるよね。変化率なら単位を揃えられる。それに、配当を入れた数字と入れない数字を混ぜると、比較にズレが出そう。

  • センパイ

    期間、通貨、配当や分配金の扱いがそろっているかを確かめよう。値動きの関係を数値で捉える方法に相関があるけれど、関係は期間や環境で変わる。穏やかな相場で別々に動いていたものが、相場の急変時にそろって下がることもある。

  • ユイ

    三か月だけで未来の関係を決めるのは危ないね。私なら、普段の期間と、みんなが売り急いだ期間を分けて見てみたい。前の動きが続かなかったとき、自分の持ち方にどう響くかも計算できそう。

  • センパイ

    数字は、起きたことを振り返って仮説を立てる道具だよ。特に下落時の動きを見たいなら、上昇と下落を混ぜた平均値だけでは見えない違いがある。自分のノートには「どの時期の何と何を比べたか」を残しておこう。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。投資先AとBの値動きの例として、1月から順にAが+4%、−6%、+3%、Bが+1%、−2%、+1%。すべて同じ方向です。別の三か月でAが−8%、+2%、−3%、Bが+3%、+1%、−1%なら、最初の月は反対です。同じ組み合わせで観察期間を変えると、見える関係も変わります。

  • ケン

    AとBがここ半年、違う方向に動くことが多かった。今後も毎月そうなる?

  • センパイ

    確かめられたのはその期間の関係です。市場の環境が変われば両方が下がる月もありえます。複数の条件を置いて全体の影響を考えます。

センパイが図を示し、ユイが説明を聞く場面

12|下落例を三枚のカードで見積もる

  • ユイ

    比較表を三枚のカードで試そう。会社一社の問題、世界の株が下がる日、そして円高で海外資産の円換算額が動く日。まず別々に置くと、下落の理由が混ざりにくいね。

  • ケン

    一枚ずつ計算できたら、二枚を同時に出した日も試そう。両方とも悪い日には、穴を埋めてくれるものが残るか気になる。

  • センパイ

    数字は将来を当てるためというより、影響の大きさを話すための練習だよ。たとえば国内株40%、海外株40%、現金20%を置くと、国内株だけが25%下がる条件では、全体は10%下がる。海外株だけが25%下がっても同じ計算だね。

  • ユイ

    両方が25%下がると、全体は20%下がる。片方が支えてくれる前提で考えると、両方が下がる日の影響を見落とすね。円高も一緒に起こると、海外株は現地の価格だけで考えた数字とズレそう。

  • センパイ

    海外株が現地通貨で20%下がり、その通貨の対円価値も10%下がると、円換算では0.8×0.9=0.72で28%減る例だね。海外株が全体の40%なら、その部分だけで全体を11.2%押し下げる。率を二つ足すと、この例とは違う数字になる。

  • ユイ

    同じ「世界の株が下がる」という話でも、何を条件に置いたかで答えが変わるね。表には、現地株価、為替、円換算、全体への影響を別に書く。数字が大きく見えて焦ったら、最初に決めた使う時期も確かめたいな。

  • センパイ

    さらに、換金しにくい場合や、複数の資産の値動きが同時に悪化する条件も想像できるよ。ここで置く割合は例で、人によって変わる。三枚のカードを作って、耐えにくい結果とその理由を知ることが練習の目的だ。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。総額50万円で国内株20万円、海外株20万円、現金10万円の例。国内株が25%安で5万円減り、海外株が円換算で28%安なら5万6,000円減ります。合計の減少額は10万6,000円で、残りは39万4,000円です。割合だけでなく円額に直すと、支払いの予定や予備資金と比べやすくなります。

  • ケン

    株価が20%下がり、通貨の円換算値が10%下がるという条件の例で、円換算額は何%下がる?

  • センパイ

    残る割合は80%×90%=72%なので、28%下がります。初めの株価とレートを基準とした単純な計算です。

13|評価額の変化で偏りが生まれる

  • ユイ

    買った当初は株式と債券を6対4にしていた口座も、今の評価額では株式のほうが増えてる。新しく買わなくても、配分を見直す機会があるんだね。

  • ケン

    六対四の札を貼ったままでも、中身が動けば中の比率は変わるんだな。札より残高を先に見よう。

  • センパイ

    最初に株式6万円と債券4万円を持ち、株式だけが25%上がると、株式7万5,000円、債券4万円になる。全体11万5,000円のうち株式の割合は約65.2%。60%から動いたね。残高は増えても、次の株価下落の影響をより大きく受ける状態になっている。

  • ユイ

    配分を元の6対4に近づける作業をリバランスと呼ぶんだね。今の株式を売って債券を買う方法だけを想像したけど、これから入れるお金を、少ない側に寄せる方法でも近づくかな。

  • センパイ

    どちらも考え方としては使える。売買を伴うと、手数料や課税口座での税金、換金にかかる日数などの確認が要る。追加資金を使う方法なら保有商品を売らずに近づけられる一方、金額や期間によってはすぐに目標比率に届かないよ。

  • ユイ

    ぴったりの数字に毎日戻す必要があるのかも考えたい。相場が動くたびに売ったり買ったりすると、費用だけでなく確認の時間もかかる。目標を決めた理由が変わったのか、値段が動いただけなのかで、見るものも違いそう。

  • センパイ

    点検する時期や、どの程度の差を記録するかを先に決める考え方もある。大切なのは、元の配分が今の予定に合っているかという問い。使う時期や必要額に変更があれば、目標そのものの点検から始めよう。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。株式7万5,000円、債券4万円で目標60対40とした例です。合計を変えずに調整するなら、株式の目標は11万5,000円の60%で6万9,000円、株式から債券へ6,000円移す計算です。債券だけを追加するなら、株式7万5,000円が60%になる総額は12万5,000円なので、必要な追加額は1万円です。売買費用、税金、値動きは省いています。

  • ケン

    保有額が増えた商品があると、追加購入がなくても全体の配分は変わる?

  • センパイ

    変わります。他の資産と違う割合で値上がり・値下がりすると、その商品の全体に占める割合も変わります。

14|一本にまとめる、二本で持つ、保留する

  • ケン

    AとBに共通のP社がある。ここまで調べたら、Bを全部売る結論なのか? 二本にしたばかりで、また手を出すのも気が進まない。

  • センパイ

    数字を出したら、次は目的に照らす。例えば、A一本のままなら管理する資料は少ない。Aだけの配分に納得できるかは自分で確認する。Bも持てば別の配分へ近づく場合があるが、銘柄や地域の偏りがどこに残るかは確認する。買い足しを一度保留するなら、新しい取引をせず資料がそろうのを待てる。現在の配分はその間も相場で変わる。

  • ユイ

    買い足す場合と、持っている商品を売って組み直す場合は、作業が違うね。販売会社の手数料や換金条件、口座の種類によっては税金や制度の扱いも確認する。売ってから慌てて条件を知ると、比率の表だけ見直しても間に合わない。

  • ケン

    欲しい商品が出たら店の仕入れみたいに注文してたな。いまは「資産の種類を増やす」「ある地域の比率を下げる」「管理を簡単にする」のうち、どれを変えたいのか書いてから比較する。

  • センパイ

    目的ごとに比較する数字が変わる。たとえば管理を簡単にしたいなら確認する資料の数や費用、地域の偏りを変えたいなら変更前後の地域比率を見る。動くときは変更前後の表を一枚ずつ残す。後で値動きが出ても、当時の判断を再現できる。

  • ユイ

    保留の場合も、空白のまま終わらせず「Bの全体版を読む」「月報の次回公表後に同じ条件で比べる」と日にちと一緒に書くよ。

現状、追加、保留で比較する項目
選択肢比較すること残る確認
A一本で続ける現在の地域・銘柄比率Aの偏りと費用
Bを追加する変更後の評価額と組入比率重なりと管理の手間
追加判断を保留する現状の配分と保留の理由次の資料と確認日

保有中の売却を伴う場合は換金条件や口座の扱いも確認する。

ケンとセンパイが端末の記録を確認する場面

15|見直しを続けられる数と手間を考える

  • ケン

    投信が増えると口座の見栄えがいいけど、似た調味料を何本も仕入れたときみたいに、どれが何用か分からなくなるな。月報を全部読める数かも考える。

  • ユイ

    いろいろな条件を考えるほど商品を増やしたくなるけれど、何本も管理するのは大変そう。中身が違えば分ける理由があって、似ているものが多いと、そのわりに確認する書類だけが増えるかもしれないね。

  • センパイ

    判断に使う情報が増えるぶん、費用や記録も点検しよう。たとえば二つの商品で同じ指数への連動を目指しているなら、中身が大きく重なる場合がある。そのときに増えるのは投資先の違いだけなのか、比較の手間や費用の違いもあるのかを調べられるよ。

  • ユイ

    銘柄数や資産の種類の列に加えて、購入時、持つ間、換金時の費用の欄も置きたい。配分を点検しようとしても、商品名が似ていて違いを説明できないなら、まず自分で見分けられるようにするのが先だね。

  • センパイ

    商品の管理を運用会社に任せて一つの商品で複数資産に投資する方法もあれば、資産ごとに商品を分けて保有比率を自分で把握する方法もある。前者は商品側の配分方針を読み、後者は自分で配分を記録する。どちらの負担が小さいかは、目的や商品の条件で違う。

  • ユイ

    一つの商品でも複数の市場に分けるものがあるし、たくさんの商品でも似た市場ばかりのときがある。保有数から出発するより、「どの市場と通貨に何割か」を一枚に写してから考えるほうがわかりやすいね。

  • センパイ

    見直しを続けられる記録にしておこう。商品を増やすなら、一行で加える理由を書けるか試す。資料を開けない、費用を説明できない、換金条件がわからない、といった点はメモにして、次の確認先を明確にしよう。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。投資先の組み合わせAには、同じ地域株式指数に連動する商品が三本。Bには一商品だけですが、その中に地域の異なる株式と債券が入っています。AとBの数だけを見るとAが多く、中身の種類を見ればBにも広い範囲があります。どちらも実際の配分、費用、資産の共通の影響を確認しないと、値動きの違いを判断できません。

  • ケン

    商品を一つ増やす前に、自分のノートに何を書けると重複を見つけやすい?

  • センパイ

    今の投資先との違いと、新たに加わる資産・地域・リスクを書きます。資料にない情報は未確認と記録します。

16|ケンの月末メモを次回も使える形にする

  • ケン

    ノートに書いたよ。「比較範囲はAとBの10万円。基準日の違いを確認。地域Xの68%とP社の16%は、同じ日付・同じ全体比率を置いた練習の結果」。実際の口座の数字に書き換える欄はまだ空けてある。

  • ユイ

    表は五つの問いで再利用できそう。①何のためのお金か。②持つ商品の金額はいくらか。③同じ分母と時点で見ているか。④資産・地域・銘柄のどこに重なりがあるか。⑤足りない資料と次の確認日は何か。

  • センパイ

    自分で持つ株や別口座を足すなら、表の対象範囲も更新する。二本の中だけの16%と、預貯金や個別株を含む家計資産全体に対する16%では意味が変わる。比較の途中で範囲を変えるときは、表を分けて金額の合計を書こう。

  • ケン

    いまは店をやり直すために使う予定のお金がある。そっちは支払予定に合わせて分けて、当面使わない分だけで練習する。表の数字がきれいでも、必要な日に値下がりしていたら困るからな。

  • ユイ

    毎日チェックする約束は守れなさそう。月末に残高を写し、資料が出たら同じ日付の欄を更新する。引っ越しや収入の変化で必要額が変わったら、その時点で使うお金の欄から見直すことにした。

  • センパイ

    確認できた中身、残る偏り、次に調べる項目を一文ずつ書く。その三行があれば、商品名だけのメモより翌月の話が早い。商品の本数に迷ったら、冒頭の比較表を自分の保有額で開き直そう。

  • ケン

    次の積立で一本増やすかは、メモの空欄を埋めてから決めるよ。注文ボタンより先に電卓を置く。食べたいものを決める時より落ち着いて考えられそうだ。