01|「上方修正」の速報を、発表元までたどる

  • ジム

    ユイ、速報だ。青波食品が上方修正。通知を二社が出したし、会議用の一枚目には「増益確定」と打ち出そう。見出しは大きく、結論は一行で決めたい。

  • ユイ

    二社とも同じ会社発表を読んでいるかも。しかも「前回予想より増える」と「前年実績より増えた」は違うよ。先に会社が出した資料を読みたい。センパイ、どこから探す?

  • センパイ

    まずTDnetの適時開示情報閲覧サービスへ。上場会社が開示した資料を、会社名、会社コード、開示日時、表題などと照らし合わせられる。青波食品は読み方を練習する会社名の例だ。取引の対象にはせず、ここでは数字の比較と資料探しを学ぶ。

  • ジム

    では通知二本をまとめて根拠一件とするか。ところで会社が同じ日に資料を二つ出していたら、どちらを先に開く?

  • ユイ

    「上方修正」の数字を見たいから、「業績予想の修正」という表題を先に開く。決算短信と補足資料も出ていたら別の行にしておくよ。資料の役割を分けると、ニュースの元がどれか確認しやすい。

  • センパイ

    同じ会社、同じ対象期間、同じ発表の種類を照合する。三つがそろえば、その資料の該当行を探せる。速報の時刻は記事の公開時刻かもしれないから、会社が開示した時刻は別に控える。

  • ジム

    会議スライドの表題を「会社が修正した予想を確認中」に変えた。確定したと書くかどうかは、PDFを開いてから決めよう。

ジムとセンパイがニュースと会社資料を確認する場面

02|TDnetの一覧から同じ会社の開示を見つける

  • ユイ

    ニュースには会社名と「午後に発表」とだけある。サービスを開いたら会社名がたくさん並ぶよ。最初に拾う手掛かりは何?

  • センパイ

    ニュースの日付から該当日の一覧を開く。次に会社名と会社コードを照合する。似た社名やグループ会社があるから、見慣れた名前だけで選ばない。最後に開示時刻と表題を読み、ニュースが取り上げた資料を選ぶ。

  • ジム

    同じ15時40分に「決算短信」と「業績予想の修正について」が並んだ。時刻で絞っただけでは二本残る。先にどれを取るかは、知りたい数字次第だね。

  • ユイ

    PDFの最初のページで会社名と日付を見て、表題で資料の種類を確かめる。その次に、見出しに使われた指標、対象期間、金額の単位を探す。ニュースの数値に合う行を見つけたら、資料名とページも書いておくよ。

  • センパイ

    一覧の情報は入口だ。ニュースの引用が表のどの行・列と対応するかまで見れば、同じ数字が別の意味で並んでいても見誤りにくい。速報に開示日が書かれていなければ、記事の公開日周辺を順にたどり、会社発表の日時を控える。

  • ジム

    急いでいる会議ほど、資料名、会社コード、開示時刻、ページを一緒に添える。次の担当者が、私の検索を最初からやり直さなくて済む。

  • ユイ

    一覧から選んだあと、PDFの表紙と該当ページで照合する。時刻と似た表題だけで選んだ資料なら、そこで違いに気づけるね。

速報から会社発表までの確認手順
  1. ニュースの日付と会社名
  2. 一覧の会社コードと表題
  3. PDFの対象期間と単位
  4. 該当ページと訂正の確認

ニュース記事の公開時刻と、会社が資料を開示した時刻を別に記録する。

03|TDnet、会社IR、EDINETの探し先を分ける

  • ジム

    今日の開示は見つかった。会議で二年前に出した予想との比較も頼まれたよ。閲覧サービスで当時の日付まで戻ればいいのかな。

  • センパイ

    JPXの案内では、適時開示情報閲覧サービスで見られるのは、開示日を含む31日分だ。土日と祝日も数える。東証上場会社のより古い開示資料は、東証上場会社情報サービスも探す。JPXは同サービスで過去10年分の適時開示資料を提供すると案内している。

  • ユイ

    会社のIRページにも資料の一覧があった。業績の説明や決算説明会資料は、会社がまとめたページから探すと見つけやすい場合があるね。TDnetと同じ資料を見つけたら、会社名、発表日、表題、版が合うか確認してメモする。

  • センパイ

    EDINETは金融庁の法定開示のシステムで、有価証券報告書などを探すときに使う。今日は決算のニュースの元になる適時開示を探したが、会社の長い期間の情報や詳細を見たいときは、どの書類のどの時点が必要か決めてから探し先を選ぼう。

  • ジム

    今週の修正なら閲覧サービス、東証上場会社の古い開示なら上場会社情報サービス、法定開示書類ならEDINET。会社IRには説明資料を探しに行く。二年前の資料が見つからなければ、見つけた範囲だけで結論を出さず、未確認の欄を残すよ。

  • ユイ

    調べたい書類と時点で探し先を選ぶ。見つからない検索結果を、その会社が何も発表しなかった証拠にするのは早いね。

04|同じ日の決算短信、予想修正、説明資料を開き分ける

  • ジム

    青波食品のニュースが二本あっても、出どころが一つの資料なら数字は一組だね。今度は同時に出た会社側の三つの書類を比べたい。

  • ユイ

    並べると同じ時刻の書類が三つ。ニュースの見出しに使われた利益の数字と、会社が事業をどう説明したかを、それぞれ見つけたいな。

  • センパイ

    三つが同じ会社か会社コードを見てから、表題を比べる。決算短信、業績予想の修正、決算説明資料は、同じ日に開示されても使いどころが違うよ。

  • ジム

    開いたタブの順番でなく、ノートの「実績」「予想の変更」「説明」に振り分けよう。資料のどこへ戻るかが決まるね。

  • ユイ

    じゃあ最初は決算短信。利益の数字を転記するとき、最初のページのどこを見る?

  • センパイ

    短信の冒頭で対象期間と単位を見て、実績欄と会社予想欄を見分けよう。増減の理由を探すなら、説明資料の事業別グラフや補足も手がかりになるよ。訂正が出ていたら、訂正した箇所も確認してね。

  • ユイ

    発表資料もいろいろあるね。「決算短信」と「決算説明資料」が同じ日に出ていたら、どちらが正しいの?

  • センパイ

    役割が違うよ。まず短信で対象期間、実績と業績予想の表、修正の有無を確認する。説明資料があれば、事業別の要因、グラフや補足で話の背景を読む。数字に差が見えたら、まず対象範囲や丸め方、資料の日付・版を見よう。

  • ユイ

    会社の公表だから、そこにある説明は全部、もう確定した事実として扱っていい?

  • センパイ

    実績と予想を分ける。会社が予想を出したことは確認済みでも、その利益が出るかは将来の話。見込み、検討中、決定といった動詞も、その時点で会社がどこまで言っているかを読む手掛かりだよ。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。6月3日夕方の記事と4日朝の記事が、どちらも3日に出た同じ決算短信を扱っていたとします。二つの見出しを読んでも、確認できた会社の決算発表は1件です。題名・日時・リンクを残せば、元の表に戻れます。

  • ジム

    記事の公開日が違えば、会社の発表も別々?

  • センパイ

    会社名と証券コード、元資料の題名と発表日時を照合します。同じ発表を別の時刻に報じている場合があります。

  • ユイ

    同じ日に開示された資料を三行にした。決算短信は実績や会社予想、予想修正は変更の前後と理由、説明資料は事業の背景を探す手掛かり。表題を読んだら本文で確かめるね。

センパイが図を示し、ユイが説明を聞く場面

05|上期累計と直近3カ月で見出しが変わる

  • ジム

    決算短信で上期の売上が前年110億円、今年120億円と確認できた。一方で別の記事は「直近で減速」だ。どちらも同じ開示を読んでいる可能性があるね。

  • センパイ

    上期は最初の6カ月を足した数字だね。そのうち後半の3カ月だけを見たいなら、同じ会計年度・連結範囲・単位で、上期累計から最初の3カ月の売上を引くよ。

  • ユイ

    最初の3カ月は前年50億円、今年65億円。図で後ろの部分だけ比べると、前年60億円に対して今年は55億円だ。上期が伸びていても、後半だけ見ると減ってる!

  • センパイ

    そう。前半で15億円増え、後半で5億円減ったので、上期全体は10億円増えた。『伸びた』の後ろに『どの期間が、何と比べて』を添えると、見出し同士を読み比べられるね。

  • ジム

    私は勢いの変化も見たい。前年の同じ時期と比べるのと、直前の四半期と比べるのでは、どちらを使うべきかな?

  • センパイ

    役割が違う。直前との比較は直近の変化を知る助けになる一方、季節で繁忙期が動く仕事では季節の影響が混ざる。前年の同じ時期は季節をそろえやすいけど、前年に災害や大口案件があったなら、そこも読む。

  • ユイ

    表に「連結」と書いてあるよ。会社のホームページに出ている単体売上とは違うの?

  • センパイ

    連結と単体は対象の範囲が違う。連結はグループをまとめた数字で、グループ内取引などの消去もある。数字をメモするときは、期間と比較先だけでなく対象範囲や単位も付けよう。百万円と億円は同じ見た目でも桁が違う。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。上期累計は(120−110)÷110で約9.1%増。上期後半の3カ月は(55−60)÷60で約8.3%減。ノートの金額の横にも期間を書きます。

  • ジム

    上期累計の120億円と前年後半3カ月の60億円から、売上が倍増したと言える?

  • センパイ

    比較する期間がそろっていません。上期同士なら110億円と120億円、後半3カ月同士なら60億円と55億円を比べます。

上期が伸び、後半の3カ月が減る例
対象期間前年今年前年との差
上期累計110億円120億円10億円増(約9.1%増)
上期後半3カ月60億円55億円5億円減(約8.3%減)

どちらも売上の計算例。増減率の分母はそれぞれの前年の金額。

06|前回予想・前年実績・今回予想を横に並べる

  • ユイ

    さっきは上期の実績を見た。次は別の計算例として、通期売上の業績予想の修正資料を読むよ。前回予想120億円、今回予想126億円、前期実績118億円が横に並んでいる。どの二つを比べるかで数字が変わりそう。

  • ジム

    上方修正の規模を言うなら、126億円から120億円を引いて6億円。前回予想を基準にすると5%だ。昨年の実績と比べるなら8億円で、118億円を基準に約6.8%。会議で二つを混ぜると別の結論に聞こえる。

  • センパイ

    前回予想との比較には「修正率」、前期実績との比較には「前期実績に対する増減率」と見出しを付ける。今回の126億円は今回予想だ。予想を前期実績と比較しても、今期の通期実績が出たことにはならない。

  • ユイ

    「通期売上の予想を120億円から126億円に5%引き上げ。126億円は前期実績118億円より約6.8%大きい」と一行ずつに分けた。単位はすべて億円、指標は売上、予想は同じ通期。

  • ジム

    補足に営業利益が載っていても、売上と同じだけ伸びたと決めつけず、その項目の前後を見よう。数字を引用するページを添える。

  • センパイ

    比較の相手、対象期間、予想か実績かを数字に添える。他人に渡した表でも、数字が何を示すかを一目で追える。

前期実績と二つの通期予想
  • 前期実績118億円
  • 前回予想120億円
  • 今回予想126億円

売上高の例。前回予想からの修正率は5%、前期実績と今回予想の比較では約6.8%大きい。

07|営業利益と純利益を同じものとして読まない

  • ジム

    別の予想修正例では純利益が10億円から12億円になった。事業の収益力も同じ幅で伸びたと書いてよいか、営業利益の行も確かめてみよう。

  • センパイ

    修正前と修正後の営業利益も横に並べよう。この例ではどちらも15億円だ。次に修正理由を読むと、保有していた土地の売却で、税引前の利益3億円を見込んでいると書いてある。

  • ユイ

    会社の最終的な利益見込みは増えたけど、営業利益予想は同じだね。土地の3億円と、最終利益が増えた2億円は、金額も違う。

  • センパイ

    見る段階が違うから、土地の数字をそのまま純利益に足せないね。資料に内訳がなければ、差額を税金などに決めつけず保留しよう。会社が新しい予想を発表したことと、その利益を確定したことも分けておくよ。

  • ジム

    土地を売ったというなら、売却価格を12億円から引いてしまえば、ふだんの利益が分かるかな?

  • センパイ

    売却代金と、会計上の売却損益は別。損益には帳簿上の価額や売却費用などが関係する。さらに売却益が税引前の数字なら、税引後の当期純利益から単純に引いて比較するのは難しい。資料にある段階をそろえよう。

  • ユイ

    一度だけの利益は無視していいの?土地を売れば会社にお金が入るよね。

  • センパイ

    無視はしない。収益力の見通しと、現金や資産の変化を別々に見る。現金の受け取り時期、売却で今後使えなくなる資産、受け取ったお金の使い道は、利益が続くかとは別の確認事項だよ。

  • ユイ

    「一度だけ」と「今後も続く」って、毎回きれいに分けられるのかな。

  • センパイ

    分け切れないこともある。例えば値上げは今後の単価を押し上げ得るけど、販売量や原材料費は次期に変わる。会社が理由を分解していなければ、自分の推計と開示済みの数字を分け、残りは分からないと書いていい。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。営業利益予想は15億円から15億円。純利益予想は10億円から12億円。売却益の見込みは補足欄に書きます。来期の見込みを読むときは、その取引が一度きりか、翌年にも続く別の要因があるかを確認します。

  • ジム

    純利益予想が2億円増えたので、本業も2億円改善したと言える?

  • センパイ

    この例の営業利益予想は据え置きです。発表された利益の種類と、会社が挙げた修正理由を組にして読みます。

ジムが決算の数字を示す資料を広げ、センパイが見る場面

08|利益率を添えると、費用の変化を確認しやすい

  • ジム

    決算短信に過去最高の売上とあるよ。会議では伸びたことを大きく見せたい。営業利益の行も見たら、売上と伸び方が違うみたいだ。

  • センパイ

    売上は販売などで得た収益の規模を示す。会社がどれだけ利益を残したかを知るなら、対応する費用や利益の段階も見る。利益額と利益率の両方を置くと、規模と効率の違いが見えやすい。

  • ジム

    見出しごとに利益率が違う。表の見栄えをそろえたいが、そもそもどの利益を売上で割った数字かな?

  • センパイ

    今は営業利益率なら、営業利益を売上高で割る。粗利益率なら売上総利益を使う。分子を変えると意味も変わるので、数字に「営業」などの名前を付ける。別会社同士では、事業構成や会計方針の違いにも気を付ける。

  • ユイ

    営業利益率が下がったら、人件費を使い過ぎたと判断してもいい?

  • センパイ

    数字だけでは原因は決まらない。原材料、商品構成、値下げ、物流費、広告費などでも変わる。資料に増減要因があれば照合しよう。将来に向けた先行費用なら、その効果と時期はまだ別の問いだね。

  • ユイ

    営業利益が増えて、利益率だけ下がることもある?利益率が下がると、悪い会社と見えてしまう。

  • センパイ

    例えば売上が大きく増えて営業利益も増えたけれど、利益の伸びが売上より遅ければ率は下がる。増えた売上がどんな商品から来たか、費用増は続くかを一緒に見る。率と額のどちらか一つに判定を任せないことだよ。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。前年は売上100億円、営業利益10億円で営業利益率10%。今年は売上130億円、営業利益11.7億円で営業利益率9%。利益額は17%増えたが、利益率は1ポイント下がった。会社が低い利益率の商品を多く販売したと説明している場合、その説明を商品別の販売構成で確かめる。なお、10%から9%への変化を「1%下がった」とだけ書くと、相対変化か率の差かが曖昧になる。

  • ジム

    営業利益率の低下から、原材料費が原因だと決められる?

  • センパイ

    決められない。原価や販管費、商品構成、値引きなど、率を変える要因は複数ある。数字から確認できた事実と、会社の説明や自分の仮説を分け、裏付けとなる内訳を探す。

09|説明資料で事業別の動きを確かめる

  • ジム

    短信は全社で増収だ。説明資料で売上の内訳を開いたら、店頭と通販で動きが分かれている。伸びを作った事業から確かめよう。

  • センパイ

    まず決算資料のセグメント情報で、どの事業をまとめた欄かを読む。前年比を出すときは区分が変わっていないかも見よう。表に事業間の売上を含む行があれば、外部顧客向けの売上や全社との調整額が別に示されていないか探すんだ。

  • ジム

    全社の数字だけだと、どこが伸びたかは隠れてしまう。先に資料の区分をそろえて、事業ごとの増減を並べよう。

  • ユイ

    店頭販売が70億円から90億円へ増えて、通販が30億円から20億円へ減った例なら、全体は100億円から110億円ね。全社で10億円増えたと聞いても、通販が減ったことまではわからなかった。

  • センパイ

    その二つの外部向け売上だけの会社として計算すると、増減の内訳はプラス20億円とマイナス10億円だね。利益まで読むなら、売上と同じ事業区分か、会社がどの指標を使っているかを確かめよう。商品や出店の説明が見当たらなければ、理由は保留にできるよ。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。外部向け売上だけで比較します。店頭販売は20億円増、通販は10億円減、会社全体は10億円増。どちらの事業がより多く利益を出したかは、売上の増減だけからは決まりません。

  • ジム

    会社全体が増収なら、全部の事業が前年を上回った?

  • センパイ

    全社と事業別の数字は分けて確認します。この例では通販の売上は前年を下回っています。

10|前年、会社予想、外部予想を区別する

  • ジム

    練習用の決算表で営業利益が98億円。前年80億円より大きい。それでも翌朝の株価は下がる例を考えたい。前年以外に、どんな数字と比べられる?

  • センパイ

    まず利益の比較から。前年80億円に対しては増益。会社の前回予想95億円にも届いた。一方、発表前の外部予想集計が105億円だったとすれば、その水準は下回っているね。

  • ユイ

    『前年を上回った』『外部予想を下回った』は、両方正しいんだ。じゃあ、株価下落も説明できる?

  • センパイ

    それは可能性の一つ。外部集計は発表前の時点や集計対象を見よう。次期の会社予想、同時刻に出た別の材料、市場全体の動きも確認すると、見える事実とまだ確かめられない理由を分けられる。

  • ジム

    外部予想の105億円は、誰がいつ集めた数字かな。記事によって『市場予想』の金額が違うなら、ひとまとめに扱えないね。

  • センパイ

    記事でそう呼ぶものは、調査会社などが集計したアナリスト予想の場合がある。集計元、取得時点、対象の数字や年度を確かめる。集計元が変わると数値が違うこともあるし、市場参加者全員の期待を測ったわけではない。

  • ユイ

    決算の感想を書くとき、どの数字を並べたら「良い」が伝わる?

  • センパイ

    「前年実績」「直近の会社予想」「発表した実績」「次の会社予想」を同じ項目で並べる。公表前の外部予想が確認できれば別の列へ。外部予想が手に入らなければ空欄でよい。そのうえで、どの比較に対して良いのか一文にする。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。前年比は22.5%増、前回の会社予想比は約3.2%上振れ、発表前の外部予想集計比は約6.7%下振れです。すべて同じ営業利益の比較でも、基準の金額を先に示すと、増減の意味が伝わります。

  • ジム

    『予想より良い』という見出しを見たとき、最初に確かめることは?

  • センパイ

    誰がいつ出した予想か、発表された実績と期間・項目が同じかを確かめます。

11|開示時刻を記事の時刻や取引時刻と分ける

  • ジム

    決算の公開は15時40分で、記事は15時55分だった。終値が前日より下がったというだけで、今日の発表が理由だと説明できるかな。

  • センパイ

    終値が決まった時刻と発表の順番を調べよう。東証の内国株の通常の売買立会は午後3時30分に終わる。午後3時40分の発表なら、その日の立会の終値は公表より前に決まっている。資料を誰でも読めた後の取引から見比べよう。

  • ユイ

    夜間取引の価格を見つけたよ。翌朝の取引所の始値と同じもの?

  • センパイ

    取引の場や時間が違うことがある。価格を並べるなら、どの取引の価格かを表示する。少ない取引で付いた価格と、多くの注文がある時間帯の価格は比較の意味が違うから、出来高や注文の状況も手掛かりにする。

  • ジム

    海外の公表時刻も並べたいが、日本の朝が向こうでは前日になることがある。時差は一年中同じと見ていいかな?

  • センパイ

    地域や季節により違いがあり、日付をまたぐこともある。公表元が表示する時刻とタイムゾーンを確認し、比較用メモはすべて日本時間へそろえるとよい。市場の休業日も、どの営業日の値動きかに影響する。

  • ユイ

    同じ日なら、発表前の値動きまで大きくまとめて「決算の反応」でいい?

  • センパイ

    発表前と後を分けると読みやすい。発表時刻の前後で価格や取引の状況を見て、間に別の発表があったかも記録する。発表前に動いた理由を、発表後の資料だけでさかのぼって説明するのは避けよう。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。例えば、ある銘柄の取引終了時の終値は1,000円。その後、会社が決算を発表。翌営業日の始値は970円、終値は990円。前日終値と翌始値の差は−3%、前日終値と翌終値の差は−1%で、観測する区切りにより数字が変わる。両方とも発表後の観測だが、翌朝までに出た別材料も入る。価格の差を記述することと、決算だけに原因を求めることは別。

  • ジム

    海外発表が「木曜16時」とだけ書いてあるとき、日本の木曜として集計できる?

  • センパイ

    その情報だけでは決められない。現地のタイムゾーン、該当日の日付、夏時間の有無を確かめ、日本時間に直す。市場の休業日が挟まるなら、次に取引された営業日も確認する。

センパイが取引画面で株価のチャートを確認する場面

12|訂正の表題を見つけたら元資料と対応させる

  • ユイ

    同じ会社をもう一度開いたら、次の朝に「業績予想の修正に関するお知らせの一部訂正」が出ていた。昨日の資料には修正前の情報が残るから、ノートを更新したい。何から合わせる?

  • センパイ

    訂正資料が参照する元の資料名と日付を読む。資料の本文で変更対象と訂正の範囲を見て、訂正箇所、変更前後、理由の説明があるかを確認する。別の決算期の書類も出ているときは、同じ年度の話かを先に合わせる。

  • ジム

    数字の練習をしよう。今期通期の売上予想を126億円と伝えた資料に訂正があり、該当行は125億円になったとする。前回予想120億円が変わらないなら、差は5億円、修正率は約4.2%。訂正前の5%を残した表は更新が必要だ。

  • ユイ

    最初に見た時点の列には126億円と開示時刻。更新後の列には125億円と訂正の日時。それから、訂正後に調べ直した率を残す。どちらかの文書だけ持っている人にも、どう変更されたか説明できるね。

  • センパイ

    参照する数字は対応する訂正を確認したうえで更新する。過去時点の振り返りでは、どの版がその時点に利用できたかも記録する。訂正資料に書かれていない理由は推測の欄に置くか、未確認にしておく。

  • ジム

    会議で渡した資料も、表の一行を直して該当ページと理由の確認状況を添える。日付と資料名があると、数字だけ口頭で伝え直すより混乱が少ない。

訂正前後を保存するためのメモ
版前回予想今回予想修正率
最初の開示120億円126億円5.0%
訂正後120億円125億円約4.2%

数値は練習用。実際の記録では、最初の開示と訂正を開示日時・表題・ページで対応させる。

13|配当や自己株式取得は発表の段階を読む

  • ジム

    別の日の一覧には、配当予想の修正と自己株式の取得に関するお知らせがある。会議では「発表した」と伝えたい。支払いや取得が実際に済んだかまで、この書類でわかるだろうか。

  • センパイ

    配当の予想、決定、実際の支払いは区別しよう。自己株式の取得も、枠を決めたときと買い付けた結果では違う。発表資料のタイトル、本文の動詞、期間と金額を見れば、どの段階か追いやすいよ。

  • ジム

    取得の『上限50億円』は、舞台の予算枠に見える。では、実際に使った金額はどこで確認できるかな?

  • センパイ

    上限はその額まで取得できるという枠。株数と金額にそれぞれ上限がある場合もある。期間内に実際いくら買ったかは、取得状況や終了時の資料を確認する。上限だけで取得額や株数を確定させない。

  • ユイ

    配当の数字が前年より増えていれば、来年もその額が普通になるかな。

  • センパイ

    年間と中間・期末を混ぜず、記念配当や特別配当の有無を見よう。株式分割などで1株の単位が変わることもあるので、同じ基準で比較する。公表時点の会社の方針、配当の内訳、来期の予想の順に確かめると整理できる。

  • ユイ

    大きく還元できる会社なら、事業もうまくいっていると分かる?

  • センパイ

    還元を実施した事実だけでは判断できない。手元資金、借入、事業に必要な支出、利益や現金の入り方も見る。今回の現金の出入りと、来年以降の事業から現金を得る力は、決算や資金の使い道の説明で別に確認しよう。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。6月1日に「取得上限50億円、期間は6月から8月末」と公表。7月初めに、6月末時点の取得額12億円を公表。終了時の報告には期間合計30億円とある。初日の読者に分かっていたのは枠と期間、7月に分かったのは途中実績、最後に判明したのは30億円。最後の数字を6月1日に知っていたことにせず、12億円と合計30億円を足す二重計上もしない。

  • ジム

    年間配当予想が1株40円から50円へ上がった。翌年度も50円で計算できる?

  • センパイ

    対象年度の予想変更として記録する。翌年度の配当は別の予想や方針を確認し、特別分があれば普通配当との内訳を見る。1株の基準や年間・期末の違いも確かめる。

14|SNSの切り抜きを資料の該当ページに戻す

  • ジム

    SNSで「買収決定」という画像を見つけた。会社のロゴがあって資料の一部にも見える。転送する前に元の表題と本文を確かめよう。

  • センパイ

    画像を入口に、会社のIRや取引所から元の資料を探す。URL、資料名、時刻、会社名を照合しよう。ロゴ、認証マーク、多数の反応は、資料が本物であることや内容が現時点で有効なことの証明にはならない。

  • ユイ

    公式の開示が見つからないときは、投稿が間違いだって書ける?

  • センパイ

    見つけられないことと、否定する根拠を確認したことは別。「調べた範囲で会社発表は確認できない」と書く。会社から報道に関するコメントが出ていたら、その文面が何を認め、何を否定し、何をまだ決めていないかを分ける。

  • ジム

    元の資料と『訂正』が両方見つかった。現在の数字を知りたいときと、当時の報道を振り返るときで、見る版は違うかな?

  • センパイ

    現在の数字を知るなら訂正後を優先する。どの時点で何が知られていたかを振り返るなら、元資料と訂正日時も要る。IRに古いPDFが残ることがあるから、資料名の「訂正」や正誤表を確認して、引用する版を明示しよう。

  • ユイ

    写真に「上場会社の役員だけが知る情報」って書いてある。急いで、投稿にある連絡先に聞くのはあり?

  • センパイ

    発信者の連絡先へ進む前に、会社が自ら掲載する窓口や公表資料から確認しよう。連絡や入金を急がせる投稿、個人情報を求める誘導、秘密の情報を強調する売り文句は、発表を読む作業と切り離す。事実が確認できない話は保留できるよ。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。画像には「買収決定、8月に完了」とあるが、会社の元資料は「相手方と協議を開始し、契約締結には至っていない」。さらに、その資料の訂正で相手方の社名表記が直った。記事メモは「協議開始、契約未締結、完了日は未確認」とする。社名の訂正は反映するが、会社の段階が協議から決定へ進んだとは書かない。発表元の文章と画像の説明は分けて残す。

  • ジム

    フォロワーが何万人もいる投稿が複数見つかったら、事実確認は済む?

  • センパイ

    投稿が同じ画像や同じ匿名情報を繰り返していれば独立した裏付けにならない。元の会社発表や別の一次資料を確認する。見つからなければ未確認として扱う。

ユイとセンパイがニュースと手元の資料を照合する場面

15|実務のメモは、数字と根拠を二段にする

  • ユイ

    会社の資料を何本か開くと、読んだ順に一行ずつノートが増えて、あとで根拠が探せなくなる。何を一番上に置く?

  • センパイ

    上段には確認した事実を一文、下段には同じ数字を探し直すための手掛かりを置く。会社名・コード、開示日時、資料名、ページや表名、期間、単位。訂正がある場合は両方の日時と資料をひも付け、確認日も残す。

  • ジム

    上段を「会社は通期売上の予想を前回の120億円から125億円へ約4.2%引き上げた」にする。下段には「業績予想の修正の訂正版、売上高の行、単位は億円。修正前は126億円」と書く。『新商品の人気が理由』と足したくなるけど、資料に見当たらないから判断欄に移す。

  • ユイ

    判断欄には「修正理由を資料で確認中」。別の解説記事にそう書いてあれば、記事の見立てとして出典を付けるよ。会社自身の説明に出てきたら、該当ページを添えて事実の欄を更新する。

  • センパイ

    確認できた数字、会社の説明、自分の解釈を別の欄に置く。会社が発表した将来の予想は、確認できた発表内容として記録できる。実際にどうなるかは今後の開示と決算で確認する。

  • ジム

    次回から会議で一枚だけ見せる場合も、日時と版を小さく残しておく。誰かが翌朝に開き直して「私が読んだ数字はこの数字」とたどれるようにね。

16|翌日の自分が原資料をたどれるか点検する

  • ジム

    一枚のメモを翌日に開いたら、数字の横に「前回予想と比較」と書いてあって、ニュースの元へ戻れた。今度は同じ手順を別の会社でも使えるように、確認欄を仕上げよう。

  • センパイ

    ノートを三行にしてみよう。一行目に発表元、日時、対象期間、金額。二行目に会社が説明した背景。三行目に、資料で確認できなかったことや、次に見たい数字を書く。

  • ユイ

    売上予想が100億円から108億円になって、理由は値上げとあった例なら、『販売数量が伸びたかは未確認』って残せるね。

  • センパイ

    その通り。さらに株価を記録するなら、発表前の終値と発表後に選んだ観測時点を別に記そう。取引終了後の発表なら、翌営業日の始値と終値でも見え方が違う。時刻を明記すると、誰でも同じ区間を見られるよ。

  • ジム

    会社の値上げが今後の売上を伸ばすと私は見ている。ただ、会社が発表したことと自分の読みは、どこで分けて記録しよう?

  • センパイ

    「仮説」の欄に置き、何を見たら考えを変えるか添える。例えば値上げの効果を見たいなら、単価と販売数量を分ける。金額が伸びても販売量が減った場合、想定した需要の伸びと区別できるからね。

  • ユイ

    同じ会社から何本も資料が出たら、全部読み終えてからメモを書かないといけない?

  • センパイ

    最初は見出しと数字一つでよい。業績と配当など別の変更が同日にあれば、混ぜずに追記する。分からない項目は確認待ちにして、問い合わせが必要なら会社の公開窓口と資料を探す。情報のないところを予測で埋めなくていい。

  • ユイ

    結果を見てからだと、自分は前からこう思っていたはず、と書き換えたくなりそう。

  • センパイ

    最初の記録は日付を付けて残し、考えが変わったら追記にする。理由が合っていたかを見直すとき、株価の結果と、当時の資料でどこまで判断できたかを分けよう。予測の当たり外れだけでは、読み方をどこから直すか分からない。

  • ユイ

    確認用の数字も残しておくね。①会社は今期の売上予想を100億円から108億円へ改定(+8%)。②資料には販売単価の上昇が理由とある。③販売数量・費用・値上げの継続期間は未確認。次の開示があったら、①を上書きせず、日付を添えて情報を足します。

  • ジム

    会社が売上予想を上げたと分かれば、販売数量も増えたと書ける?

  • センパイ

    資料に数量がなければ未確認です。単価と数量を分け、後から確かめられる項目として残します。

  • ユイ

    次の速報を受け取ったら、会社・資料名・開示日時の照合から始める。数字を一つ拾ったら期間、単位、比較先、予想か実績かを確認して、該当ページと訂正の有無を残すよ。